【建設業で注目のDXとは】2024年に迫る残業時間規制を乗り切るおすすめツールと導入事例

この記事では、建設業におけるDXの概念や施策と、導入が急がれる背景について解説します。また、国や自治体の補助金が活用できるおすすめのDXツールと、導入事例もご紹介します。

こんにちは、Kdanライターの津山です。建設業の管理職の方にとって、労働基準法改正による2024年4月からの建設業の残業規制は、かなり衝撃的なニュースだったのではないでしょうか?

筆者の父親も建設業の労働者でしたが、平日は朝5時に家を出て現場に向かい、納期に間に合わせるために、休日も現場に行くことが珍しくありませんでした。おそらく、この記事をご覧の皆様の中にも、似たような経験をされた方がおられるかと思います。

しかし、2024年以降は建設業の時間外労働に上限が設けられるため、もし、現在、長時間労働を前提とした仕事の進め方が当たり前になっている企業は、業務が回らなくなるリスクが高まります。

そこで、国土交通省が建設業の生産性を改善するために推進しているのが、ITツール等を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)です!

しかし建設業の仕事は、プロジェクトにより現場やメンバーも異なります。そのような中で、一体、何の業務をどのように改善したらいいのか、悩んでおられる管理職の方もおられると思います。

そこで、今回の記事では、建設業におけるDXの概念や施策、DXが求められる背景についてデータを用いて解説します。また、最後に、国や自治体の補助金が活用できるおすすめのDXツールと、導入事例をご紹介いたします。

建設業界で注目を集めるDXの概念と施策

建設業界で注目を集めるDXの概念と施策

まず、建設業界で注目を集めるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは一体何を指すのか、その概念と具体的な施策を簡単に説明いたします。

DXとは、単に紙の図面や報告書を電子化するといった行為だけではなく、電子化したデータと、ITツールを活用して、業務効率を改善したり、組織やプロセス自体を変革したりすることを指します。

建設業界におけるDXでは、国土交通省が公表している、ドローンを用いた3次元測量や、ICT建設機械と呼ばれる高度な重機を導入するといったi-Constructionという取り組みが有名です。

しかし生産性の改善という点においては、必ずしもi-Constructionのような大規模投資が必要という訳ではありません。以下のような事例も、建設業における有効なDX施策です:

  • 図面を電子化して、現場から図面をタブレットで閲覧する
  • オンライン会議システム等を使用して、遠隔で現場に指示を出す
  • 日報や報告書を電子化して、オンライン上で承認をもらう

後ほどご紹介しますが、DXに関するツールの導入においては、国や自治体の補助金を申請できるケースもあります。

建設業界でDXによる生産性の改善が急務とされる理由

建設業界でDXによる生産性の改善が急務とされる理由

では、なぜ建設業においてDXによる生産性の改善が急務と言われるのか、その背景を簡単にご紹介します。一言でいうと、人材不足により事業が継続できなくなるリスクや違法労働のリスクを回避するためです。

建設業の労働者は、ピークだった1997年の685万人に比べ、2021年は482万人まで減少しています。しかも、労働者の年齢構成を見ると、60歳以上が全体の約4分の1を占めており、30歳以下の労働者は、全体のたった1割程度にとどまります。

労働者の年齢構成では60歳以上が全体の約4分の1を占めており、30歳以下の労働者は、全体のたった1割程度
参考:国土交通省 建設業就業者の現状

また建設業の労働生産性は、2000年以降ほとんど改善がみられず、全産業平均と比べても低水準です。つまり労働時間が長い割に稼げない労働集約型の産業となっており、長時間労働・低賃金が続く背景から、3年以内の離職者が約5割にも達するという結果が出ています。

建設業の労働生産性は3008円、2000年以降ほとんど改善がみられず、全産業平均と比べても低水準。
参考:建設HR 編集部 建設業の人材動向レポート(35) 2019年度

ただ幸いにも、これまで建設業には、残業時間に上限が設けられていませんでした。しかし法律改正により、2024年4月から、企業の規模を問わず、建設業でも労働時間に原則月45時間・年360時間の上限が適用されることになります。

そこで、もし現在の仕事のやり方を続けていると、仕事が回らなくなり、納期を守るために労働者に違法な時間外労働をさせてしまう企業が出てくることが考えられます。

今後は、1人あたりの労働時間を短縮しても、同じ仕事、あるいはそれ以上の仕事ができなければなりません。そのために、DXを通じて生産性を改善することが必須といえます。

建設業の生産性を改善するDXツールと導入事例

建設業を対象とした調査によると、建設現場の課題として、1.現場の写真を事務所に持ち帰り整理しないといけない、2.図面や報告書など紙で出力している、3.社外調整や情報共有に時間がかかる、といったことが挙げられました。

そこで最後に、上記の現場課題を解決して生産性を改善し、さらにDX関連の補助金の対象にもなる2種類のDXツールを、導入事例とともにご紹介いたします。

DXツール1. 写真や図面をオンライン管理できる施工管理ツール

写真や図面をオンライン管理できる施工管理ツール

現場写真の整理や紙図面の管理が非効率である、という課題に対しては、施工管理の業務をまとめて効率化することができる、施工管理ツールの利用がお勧めです。

Photoruction(フォトラクション)ダンドリワークなどの施工管理ツールを利用すれば、タブレット等で撮影した現場写真を自動で分類してくれる上、写真にメモを追加して社員と共有することができます。また、図面のデータをツールにアップロードすれば、現場に大量の紙図面を持参する必要もなくなります。

Photoruction(フォトラクション)
引用元:Photoruction(フォトラクション)公式サイト

【Photoructionの導入事例】平山建設株式会社

導入前の課題:現場で撮影した資料をメモ(黒板)を見ながら分類していたため、写真整理に1日1時間以上かかっていた。

導入後の成果:現場で撮影した写真をプロジェクトごとに自動整理してくれるPhotoructionの機能を使うことで、作業時間を10分の1に削減した。

またPhotoructionダンドリワークは、写真や図面管理機能のほか、報告書や施工計画書などをオンライン上で作成する機能も備えています。ただし、もし電子化した書類を、承認サインまで含めて全てオンライン上で完結させたい場合には、電子署名法や、電子帳簿保存法などの法律要件を満たさなければならない場合があります。

あらゆる書類に対して、法的に有効なサインを付与するためには、弊社が提供するDottedSign(ドットサイン)などの電子署名ツールを、併せて利用する形がおすすめです。

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DXツール2. 情報共有や対面会議を効率化できるビジネスチャットツール

情報共有や対面会議を効率化するためには、ビジネスチャットツールがお勧めです。特に、日本の建設業界で、注目を集めているのが、LINEが提供しているLINE WORKSというツールです。

LINE WORKS
引用元:LINE WORKS公式サイト

LINE WORKSは、60歳以上の方でも利用率が高いLINEと同じ音声/ビデオ通話ができるトーク機能を持ち、そこに情報共有が即時に行える掲示板機能や、メンバーのスケジュール管理が行えるカレンダー機能などが加わった、ビジネスチャットツールになります。

【LINE WORKSの導入事例】陸中建設株式会社

導入前の課題:業務連絡の手段が電話かメールのみで、情報を速やかに周知する手段がなく、また社内ワークフローが紙ベースのため、外出などにより決裁が滞りがちだった。

導入後の成果:トークや掲示板の活用で、現場や取引先でも重要な業務連絡や書類の確認を可能にした。また承認が必要な書類をLINEトークで回覧し、タイムリーに決裁できる環境を構築した。

LINE WORKSは、施工管理ツールのPhotoructionや、電子署名ツールのDottedSignなど、様々なビジネスツールとも連携しており、一つのアプリにチャット以外の機能もまとめられるという点が、大きなメリットです。

今回ご紹介したDXツールは、要件を満たせば、IT導入補助金等の補助金の申請も可能です。補助金の種類や、申請要件等については、以下の記事で詳しく紹介していますので、併せて参考になさってください。

いかがでしたか?2024年から始まる残業規制に対しては、建設現場の施工管理者の8割が未対応であるという結果が出ています。今回の記事を参考に、ぜひ、いち早くDXへの取り組みを始めていただければ幸いです!

執筆者

一橋大学経済学部卒業。大学在学中は労働統計学を専攻、統計データを活用した労働市場の最適化を研究。日本の某大手メーカーで11年勤務、うち2年は台湾駐在。現在は台湾にあるデジタルマーケティングの会社に勤務。

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